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季刊ペースで人力飛行機や鳥人間コンテストについて情報を追い掛けるブログ

「鳥人間」は商標、ではそれはどこまで適用されるのか?【追記あり】

大図書館の羊飼い」に人力飛行機が出ているらしい

18禁な話題にはなりますが。最近発売になったエロゲ「大図書館の羊飼い」にちらっと人力飛行機が出ているという話を耳にしました。

そこで個人的に気になったのが「鳥人間コンテスト」はなぜフィクションに出てこないのかという話。昨年発売された小説「トリガール!」では「鳥人間コンテスト」という固有名詞が出ていましたが、あれは「取材協力:読売テレビ」とちゃんとクレジットが出ていたので公認という形になるでしょう。ではなぜ公認ではない他のフィクションに関しては名称がぼかされているのか?と疑問に思ったわけです。
あ、大図書館の羊飼い」に鳥人間という名詞が出てるわけではないですよ。個人的に気になっただけです。単なる勘違いから。

鳥人間」は商標

まずそもそも「鳥人間」という名詞は2004年に商標として登録されているという話からです。

(541) 【標準文字商標】 鳥人
(561) 【称呼(参考情報)】 トリニンゲン,チョーニンゲン

2003年9月19日に出願、2004年6月4日に登録で出願元はもちろん読売テレビ放送株式会社。8年ほど前までは法的には「鳥人間」という名詞に拘束は無かったことになります。

鳥人間」は興行

では商標として「鳥人間」はどういう区分になるのかという話。先のページにはこうあります。

41 興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇小型自動車競走の興行に関するものを除く。)

商標とはある文字や図形などに独占的な使用を許可する制度のことだそうですが、出願するためには区分が必要になるそうです。で「鳥人間」は上のように興行の企画・運営にのみ独占が認められています。詳しいことはWikipediaでも参照してください。

41類の詳細はこちら。これらに当てはまらなければ、一応は商標に関して訴えられることはないという事になります。

鳥人間」は著名な商品

しかし商標は商標法でのみ守られるものでは無いらしいのです。不正競争防止法というもう一つの壁がある、とは詳しい人の話。

第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
(以下省略)

というわけで商標でもめたりする商品はここに引っかかってくるわけですね。最近では「面白い恋人」の訴訟の例などが有名かと。

商標法と不正競争防止法に則って訴えを起こしているみたいです。詳しくはリンク先でも読んでください。この場合同じお菓子という区分ではありますが、不正競争防止法の場合区分が違っても保護はされるみたいです。このあたり分からん。誰か教えて。
というわけで、「鳥人間」「鳥人間コンテスト」という名詞に訴訟リスクがある以上、この名称は迂闊には使えないよねという話でした。実際には著作権上のリスク等もあるらしいですがめんどくさいので割愛。まあ実際には揚げ足取りみたいな訴訟は割に合わないことが多いらしいのですが、フィクションの例ではポケモンの同人誌訴訟みたいなこともあるので*1リスクは押さえるに越したことはないよねという話のようでした。

追記:鳥人間における商標の実例

twitterでreplyを受けて気がついたのですが、「鳥人間」においては少し実例が存在しました。それは滑空機のシミュレータである「Bird」と「鳥シミュ」の例。両者とも読売テレビの方に問い合わせを行った、という記述があります。

「Bird」の場合―「他の番組に出ないで欲しい」

Birdは琵琶湖型滑空機シミュレータの先駆けとなったソフトです。このソフトの公開にあたり、読売テレビに問い合わせをしたという話がReadMeに記載されています。以下、Ver.096のReadMeより引用。*2

5. このソフトはシチュエーションを鳥人間コンテストに設定して
いるため、版権等の問題があるかと考え、1996年4月23日に読売
テレビに公開の是非を電話で確認しております。回答は公開は差
し支えないが、このプログラムを利用して他の番組に出ないで欲
しい、との事でした。ご使用になる場合は注意をお願いいたしま
す。

1996年は商標の登録前にあたります。しかし公式な見解としては、「鳥人間コンテスト」とテレビで扱われるようなことはしないで欲しいということにはなっているようです。この問い合わせが影響したのかは分かりませんが、Bird内部では「鳥人間」などの名称は出て来なかったと思います。逐一確認したわけではありませんけど。

「鳥シミュ」の場合―明確に「不可」

鳥シミュは2005年公開のソフトなので商標登録以後ということになります。作者さんのブログに問い合わせの経緯が記載されています。

ついでに書いておくと実はこのプログラム内で鳥人間とかBirdmanRallyって言葉を使っていいか読売テレビの方に問い合わせていました。何気なくプラットホームのテクスチャとかにBirdmanRallyって言葉入れちゃってたりしてたのでちょっと気になっていたんですよね。これ読売テレビの商標登録だから

で、返答が来てからベクター登録しようって感じで待っていました

で、昨日返事が来たんですが回答は「不可」・・・(´Д`;)

この記述によれば、「鳥人間」に関しては明確に使用が認められないという形にはなっています。まあ認めたら認めたで前例になってしまうので、こういう問い合わせにはNoと答えるしかないという話もありますが。というわけで鳥シミュにも「鳥人間」という言葉は使用されていません。ちなみに鳥シミュ、今年元日に数年ぶりのアップデートが公開されています。

*1:あれは著作権の方向ですが。割愛した後に話題を出すとかどういうことなの……

*2:引用、まずかったら連絡をお願いします。