第42回鳥人間コンテスト、1日目は台風7号直撃でした
今年の番組放映も終わり、鳥人間的にはシーズンオフとなった今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。番組中でも一部触れられていましたが、7/27(土)の大会1日目に台風7号が直撃し途中で打ち切り、残りのプログラムの一部は2日目に振替開催されました。なお、番組中で「天候が回復した後……」と語られていたのが2日目です。虹が出たのは1日目の朝です。
今年は現地観戦できましたので、個人的な視点での覚え書きと、次回以降に向け考えるべきことを書いておきます。
大会1日目の状況
大会1日目、私はほとんどプラットホームの桟橋(俗に言う「花道」)の入口付近で観戦していました。朝7時半に会場入りした時には、琵琶湖にかかっていた虹も消えかかり、風雨が強くなり始めた時間帯でした。
自分が観戦していた時の状況と、その後に見聞きした情報をまとめたものが以下の表になります。私が会場に着いたのがおおよそ7時30分であったため、3番目の豊田工業大さんのフライトから観戦しました。その時には既に風雨が強くなっており、断続的に雨が止む時間帯はあったものの、風は止むことなくどんどん強くなっていきました。
www.data.jma.go.jp
彦根地方気象台のアメダスのデータを確認すると分かりやすいのですが、大会が開始された7時以降、瞬間最大風速が継続して7m/sを上回るような状況が続いていました。もっとも、これは気象台のデータであって、湖上に作られたプラットホーム上では更に風が強くなっていただろうと想像できます。公式配信を見ていた方からは、プラットホーム上の風が10m/s以上と表示されていたとの情報もありました。このような状況下で難しい状況に置かれたのが、プラットホーム並びに桟橋上で1時間以上待機することとなった、湘南工科大さんと九州大さんです。鳥人間コンテストでは、プラットホームに1チーム待機している後ろで、2チームが桟橋上で待機する形が一般的です。正確には記録していませんが、フライト時間から考えると、この2チームは1時間以上、瞬間的には10m/sを超える暴風雨に晒されながら、桟橋並びにプラットホーム上で待機する形となりました。7月ということで、当然参加者の皆さんの格好は半袖のTシャツが大半です。
結果的に、湘南工科大さんはプラットホームまでは上がったもののそこで突風に煽られ主翼を大きく破損、そのまま棄権となっています。また、九州大さんは、桟橋上で1日目の大会中止の報を聞きそこから湖岸へ撤退、2日目にフライトが繰延となりました。九州大さんと関係あるかは分かりませんが、当日の会場で、低体温症で救急搬送された方が出た、と報じられています。*1
今年の大会から学ぶべき教訓は
このような、場合によっては重症者が出てもおかしくないような状況下で、何ができたか。また、今年の大会から来年以降に活かすべき教訓はなにか。個々の事例は別として、一般的な認識を述べておきたいと思います。
■ 事前にケーススタディをしておく/指揮・判断系統を決めておく
今回の大会より、1日目の滑空機部門終了後に人力プロペラ機部門のフライトが数チーム行われる、という大会プログラムとなりました。しかし、結果的に今年は1日目のプログラムをすべて消化できず、1日目にフライトする予定だったプロペラ機部門のチームは結局フライトできませんでした。また、2日目に順延された滑空機部門の出場チームの中には、諸都合(後述)により1日目で撤退したチームもあったようです。
このような場合、基本的に「2日目に順延するが、フライトできないかもしれない。どうするか?」という決断は各チームに委ねられます。チームメンバーの都合は付くか、トラックなどレンタカーの都合は付くのか、翌日にフライトできる可能性は……など、チームによって状況が異なるというのも、決断を各チームに任せている理由であると思います。このような場合にどうするか、または誰が決断するかは、事前に考えておくべきではないかと思います。
また、同じような話にはなるのですが、チーム全体を統率する方は、急病者が発生し得ることを頭の中に入れておくべきだと思います。「(人数が少ないなど)そんな余裕が無い」という場合もあるでしょうが……。
■ 低体温症と熱中症、どちらも起こりうることを想定しておく
今回の大会では1日目に低体温症、2日目には熱中症での救急搬送者が出ています*2。2日目は台風一過となり、晴れて蒸し暑かったことから、熱中症の危険が高くなっていた状況でした*3。
夏の低体温症については以下のページが詳しいかと思います。
www.tbsradio.jp
また、熱中症については様々な場所で解説されています。一例として大塚製薬のサイトを挙げておきます。
www.otsuka.co.jp
基本的には夏の炎天下で開催される大会ですが、参加者の体調不良にも色々なパターンがあることを念頭に置く必要があるかと思います。
大会の中断・中止基準について
最後に、大会運営側の判断についても少しだけ触れておきたいと思います。
前提として、鳥人間コンテストはテレビ番組の収録です。収録上、フライトできる可能性のあるような条件であれば待機させ、少しでもフライトしたチームを多くしたいとの判断は理解できます。
ですが、今回に関しては、個人的に大会中止判断が遅すぎた、と個人的には捉えています。機体が大きく破損したり、悪天候による体調不良者が出るような状況になる前に判断を下すべきだったのではないでしょうか。
大会ルールブックには、大会開催中の気象条件について以下のように記載されています。
風速が毎秒5メートル以上の場合や一時的な気象条件悪化の場合、競技を中断することがある。*4
この部分について、特に風速については即時中止の基準を設けるべきなのではないか*5と思います。